成果につながらないBtoB企業|オウンドメディアでリード獲得と受注を伸ばす体制を再構築

この記事では、SNSマーケティング支援を行うBtoB企業(A社)が、自社オウンドメディアを活用したSEO施策を通じて、リード獲得と受注拡大を実現した取り組みをご紹介します。

施策前には、記事制作の量は十分でも成果につながらず、どの施策に注力すべきか判断しにくい状況がありました。本記事では、課題整理から施策方針、具体的な実施内容、そして成果と成功要因までを整理し、読者が自社に適しているか判断できる材料を提供します。

概要

本事例は、SNSマーケティング支援・運用コンサルティングを主軸とするBtoB企業(以下、A社)において、オウンドメディアを活用したSEO施策を通じて、事業成果に直結するリード獲得体制の再構築を行った取り組みをまとめたものです。

A社では従来、SNS広告を中心とした集客施策によって一定の成果を上げていましたが、その一方で、広告依存度の高さや中長期的な集客基盤の不安定さが課題として認識されていました。そこで、ストック型施策としてのオウンドメディア活用を本格的に見直し、「アクセス数を増やすためのSEO」ではなく、「事業成果につながるSEO」を軸に施策全体を再設計する判断に至りました。

本取り組みの特徴は、単に記事本数を増やすのではなく、KPIをコンバージョン獲得に設定し直したうえで、コンテンツ設計、CTA導線、既存記事のリライト、社内運用体制の整理までを一貫して見直した点にあります。

成果が出ていない理由を表層的な順位やPVの問題として捉えるのではなく、「なぜ記事が事業成果につながっていないのか」という構造的な課題から整理したことで、施策の優先順位や注力ポイントが明確になりました。

本記事では、A社がどのような背景と制約条件のもとで課題を認識し、どのような選択肢を検討したうえで現在の方針に至ったのか、その判断プロセスを含めて整理しています。また、得られた成果についても、短期的な数値変化だけでなく、社内の意識変化や運用面での再現性といった観点から冷静に捉えています。

SEO施策やオウンドメディア活用を検討している企業担当者が、自社の状況と照らし合わせながら「同様の取り組みが自社に適しているかどうか」を判断するための材料として活用いただくことを目的としています。

事例の概要

A社は、法人向けにSNSマーケティング支援および運用コンサルティングを提供する企業です。主な顧客層は、自社でのSNS運用や広告活用に課題を抱える中堅・中小企業であり、戦略設計から運用代行、効果測定までを包括的に支援しています。SEO施策の主目的は、オウンドメディアを通じて自社サービスへの関心度が高い見込み顧客との接点を増やし、安定的なリード獲得につなげることでした。

施策期間はおおよそ数カ月単位で設定され、戦略設計から既存コンテンツの分析・改善、新規コンテンツ制作、CTA設計までを支援範囲としています。単発の改善にとどまらず、中長期的に運用可能なSEOおよびコンテンツ活用の仕組みづくりを前提とした取り組みであった点が特徴です。

企業の概要

A社は少数精鋭の体制で事業を展開しており、マーケティング部門と事業部門が比較的近い距離で連携している組織構造を持っています。Webサイトはこれまで、サービス内容や実績を伝える情報提供の役割が中心であり、明確にリード獲得を担う媒体として位置づけられてはいませんでした。

オウンドメディアについても、担当者主導で記事制作は進められていたものの、SEOやコンバージョンを強く意識した設計にはなっておらず、評価指標もPV数が中心でした。専任のSEO担当者が常駐している体制ではなかったため、限られたリソースの中で、どの施策に注力すべきか判断しづらい状況が続いていました。こうした背景を踏まえ、現実的な運用負荷と事業成果の両立を前提とした施策設計が求められていました。

施策前の課題

A社では、オウンドメディアを活用した集客に一定の可能性を感じており、実際に内製で多くの記事コンテンツを制作していました。しかし、その取り組みが事業成果に十分結びついているとは言い難い状況が続いていました。表面的には「記事数は増えているのに問い合わせが増えない」「SEOを意識しているつもりだが成果が見えにくい」といった課題として認識されていましたが、背景を整理していくと、より構造的な問題が存在していたことが分かりました。

まず大きな課題として挙げられたのが、オウンドメディアの目的と評価指標が曖昧だった点です。記事制作自体は継続的に行われていたものの、KPIは主にPV数や記事本数といった指標に置かれており、「どのようなユーザーに、どの段階で、どの行動を取ってもらいたいのか」という視点が十分に整理されていませんでした。その結果、検索流入は一定数あっても、サービス理解や問い合わせといった次の行動につながりにくい構成の記事が多くなっていました。

また、記事テーマの選定や構成についても、体系的な設計がなされていなかった点が課題でした。個々の記事はそれぞれ担当者の判断で制作されており、検索ニーズやカスタマージャーニー全体を踏まえた整理が行われていなかったため、コンテンツ同士の関係性が弱く、サイト全体としての強みが形成されにくい状態でした。成果が出ている記事とそうでない記事の違いについても、感覚的な把握にとどまり、次の施策判断に十分活かしきれていませんでした。

さらに、既存の集客施策との役割分担が整理されていなかった点も、課題を複雑にしていました。A社ではSNS広告を中心とした集客が主力となっており、短期的な成果は得られていましたが、その分、広告費への依存度が高く、コスト面や持続性に対する懸念がありました。一方で、オウンドメディアは「将来的に効いてくる施策」という位置づけにとどまり、事業戦略の中で明確な役割を担えていませんでした。

このように、施策前のA社は「オウンドメディアを運用しているが、なぜ成果が出ないのかを構造的に説明できない」「どの施策を優先すべきか判断するための軸がない」という状態にありました。単なるSEOノウハウの不足というよりも、目的設定、評価指標、施策のつながりといった全体設計が不十分だったことが、成果につながらない根本的な要因であったと考えられます。

課題分析と方針設計

施策前の状況を踏まえ、A社ではまず「なぜオウンドメディアが事業成果につながっていないのか」を整理するところから着手しました。単に検索順位や流入数が不足しているという仮説ではなく、オウンドメディアが事業全体の中でどのような役割を担うべきか、その前提を見直す必要があると判断したためです。課題分析にあたっては、既存コンテンツのパフォーマンスやユーザー行動を確認しつつ、社内での運用実態や意思決定プロセスも含めて整理を行いました。

分析の結果、課題は大きく三つの観点に分解できると考えられました。一つ目は「評価指標のズレ」です。PV数を主なKPIとしていたため、記事制作の目的が流入獲得に偏り、サービス理解や問い合わせといった事業成果に直結する要素が後回しになっていました。

二つ目は「コンテンツ設計の断片化」です。記事単体では一定の情報量があっても、検索意図の段階や読者の検討状況を踏まえた設計になっておらず、サイト全体として見たときに一貫した導線が構築されていませんでした。

三つ目は「改善サイクルの不在」です。成果が出ている記事とそうでない記事の違いを体系的に整理し、次の施策に反映する仕組みが整っていなかったため、運用が属人的になりやすい状態でした。

これらの課題を踏まえ、検討された施策案はいくつか存在しました。例えば、新規記事制作にさらに注力し、検索ボリュームの大きいキーワードを広く狙う案や、広告と連動したキャンペーン型コンテンツを増やす案なども候補に挙がっていました。しかし、いずれの案も短期的な流入増加は期待できる一方で、既存の課題である「成果につながらない構造」を根本的に解消するには不十分であるという判断に至りました。

最終的に採用された方針は、オウンドメディアを「事業成果につながるリード獲得媒体」と明確に位置づけ直し、その役割から逆算して施策全体を再設計することでした。具体的には、KPIをPV数ではなくコンバージョン獲得数に設定し直し、既存コンテンツの価値を最大化するためのリライトやCTA設計を優先的に行う方針を選択しました。また、新規コンテンツについても、単発で終わらせるのではなく、既存記事やサービスページと連動し、ユーザーの検討フェーズを自然に進める構成を重視することとしました。

この方針を選択した背景には、A社のリソース状況も大きく影響しています。限られた体制の中で、記事数を無制限に増やす運用は現実的ではなく、既存資産を活かしながら再現性のある改善サイクルを構築する必要がありました。そのため、「何を新しくやるか」以上に、「何に注力し、何をやらないか」を明確にすることが重視されました。こうした整理を経て、単なるSEO施策ではなく、事業戦略と整合したコンテンツ運用方針が定まり、次の実施フェーズへと進むことになりました。

実施施策

A社における実施施策は、単発の改善やテクニカルなSEO対策に留まるものではなく、「オウンドメディアを事業成果につなげる」という方針に基づいて全体設計された点に特徴があります。個々の施策はそれぞれ独立しているように見えても、実際には相互に連動し、ユーザーの理解促進から行動喚起までを一貫して支える構造を意識して設計されました。

特に重視されたのは、既存コンテンツを起点とした改善と、新規コンテンツを含めた中長期的な運用を両立させることです。限られたリソースの中でも継続可能で、かつ社内で再現できる形を前提に、施策の優先順位や進め方が整理されました。

実施施策① 記事内CTA設計と導線の最適化

最初に着手したのは、既存記事におけるCTA(行動喚起)の設計見直しでした。施策前の記事は、情報提供としての完成度は一定水準に達していたものの、読了後にユーザーが次に取るべき行動が明確に示されていないケースが多く見られました。そのため、せっかく検索流入を獲得できていても、サービス理解や問い合わせといった事業成果につながりにくい構造になっていました。

そこでA社では、記事ごとの検索意図や読者の検討段階を整理したうえで、適切なCTAを配置する方針を採用しました。具体的には、課題認識フェーズの記事では資料ダウンロードやノウハウ解説ページへの導線を重視し、比較・検討フェーズの記事ではサービス紹介ページへの遷移を促すなど、記事の役割に応じてCTAの種類や文脈を調整しています。また、単にCTAを増やすのではなく、記事内容との整合性を保つことを重視し、読者にとって自然な流れで行動を促す表現や配置が意識されました。

実施施策② 成果が出ている記事を起点とした体系的リライト

次に取り組んだのが、既存コンテンツの分析とリライト施策です。A社では、すでに一定の検索流入やコンバージョンを獲得している記事が存在していましたが、それらがなぜ成果につながっているのかを十分に言語化できていない状態でした。そこで、成果が出ている記事を中心に、検索意図、構成、CTA、内部リンクなどの要素を分解し、共通点を整理する作業が行われました。

この分析結果をもとに、他の記事にも横展開できる改善ポイントを抽出し、優先度の高い記事から順にリライトを実施しています。リライトにおいては、単なる情報の追加ではなく、検索意図とのズレの修正や、記事内で不足している検討材料の補完が重視されました。また、記事単体の改善にとどまらず、関連コンテンツへの内部リンク設計を見直すことで、サイト全体としての回遊性と理解度向上を図っています。

実施施策③ 検索意図に基づく新規コンテンツ設計とハブ構築

三つ目の施策として、新規コンテンツの制作とハブコンテンツの設置が行われました。新規記事については、検索ボリュームの大小だけでテーマを選定するのではなく、「将来的にサービス検討につながるかどうか」という観点を重視しています。そのため、見込み顧客が抱える課題や疑問を起点に、段階的に理解を深められるテーマ設計が行われました。

あわせて、複数の記事を束ねるハブコンテンツを設置し、関連情報を整理して提示する構成を採用しています。これにより、ユーザーは断片的な情報収集に終わらず、A社の専門領域について体系的に理解しやすくなりました。この施策は、SEO評価の観点だけでなく、営業活動における説明資料としても活用できる点が重視されており、オウンドメディアの役割を「集客媒体」から「事業を支える情報基盤」へと広げる取り組みとして位置づけられています。

成果

本施策の成果は、短期的な数値変化と中長期的な運用面の変化の両面から捉える必要があります。A社では、施策開始当初から「成果をどのように評価するか」を明確にしていたため、単なるアクセス増減に一喜一憂するのではなく、事業への寄与という観点で冷静に状況を把握することができました。

定量的な成果としては、取り組み開始初月の段階で、当初3カ月間で達成を想定していたコンバージョン目標に到達しました。セッション数についても、既存記事のリライトや新規コンテンツの効果が重なり、前年同月比で大幅な増加が確認されています。結果として、アクセス数は前年比で約8倍程度に改善しましたが、A社ではこの数値自体を目的化せず、「どの流入がリード獲得につながっているか」を重視して評価を行っています。

リード獲得面では、月間で20〜30件程度の見込み顧客からの問い合わせや資料請求が安定して発生する状態が続いています。特に、オウンドメディア経由のリードは、サービス内容への理解度が高いケースが多く、受注につながる割合も既存施策と比較して高い傾向が見られました。その結果、受注件数は施策前と比べて約3倍程度に増加しています。

また、定性的な変化として、オウンドメディアに対する社内の評価が大きく変わった点も挙げられます。これまで広告施策の補完的な位置づけだったオウンドメディアが、事業成果を支える重要なチャネルとして認識されるようになり、広告費配分の見直しにもつながりました。具体的には、広告投資額を前年比で半減させつつも、全体としての営業効率を維持できている点が一つの成果と捉えられています。ただし、これらの成果は特定の条件下で得られたものであり、同様の結果がすべての企業で再現されるわけではない点には留意が必要です。

成功要因

A社の取り組みが一定の成果につながった背景には、個々の施策内容そのもの以上に、意思決定の考え方や進め方における工夫があったと考えられます。SEO施策やオウンドメディア運用は、手法だけをなぞっても成果が出にくく、前提条件や体制に合った形で設計・運用されているかどうかが重要になります。

本事例では、施策を実行する前段階で「何を目的とし、どの指標で評価するのか」を明確にしたことが、その後の判断を一貫したものにしました。また、外部支援に依存しきるのではなく、社内で再現可能な形に落とし込む姿勢を持ち続けた点も、結果的に成果の安定化につながった要因の一つといえます。

成功要因① 成果指標を起点とした共通認識の形成

最も大きな要因の一つは、KPIをコンバージョン獲得数に設定し直したことで、社内外の関係者間に共通の判断軸が生まれた点です。施策前は、PV数や記事本数といった指標が中心だったため、施策の是非を巡って認識のズレが生じやすい状況でした。

KPIを明確に成果指標へと切り替えたことで、「この施策は成果につながっているか」という問いに対して、感覚ではなくデータをもとに議論できるようになりました。その結果、優先順位の判断や改善の方向性がぶれにくくなり、限られたリソースを効果的に配分できたと考えられます。

成功要因② 再現性を意識した運用体制と改善プロセス

もう一つの成功要因は、施策を属人的なノウハウにとどめず、社内で再現可能な形に整理した点です。成果が出ている記事の要素を分析し、リライトやCTA設計の観点を一定のルールとして共有することで、担当者が変わっても同じ考え方で運用できる基盤が整いました。

また、マーケティング部門と事業部門が定期的に情報を共有し、成果と戦略の整合性を確認しながら改善を進めたことも、施策が単発で終わらず継続的な成果につながった理由といえます。こうした進め方が、結果としてオウンドメディアを事業に組み込む形で機能させることにつながりました。

クライアントの声

本施策に対するA社担当者の立場で想定されるコメントとしては、オウンドメディア運用の意義や施策判断の明確化に対する評価が挙げられます。

「これまでの記事制作は量的には進められていたものの、どの記事が成果につながるかの判断が難しかった。今回の施策では、KPIをコンバージョンに設定し、記事ごとの役割や改善ポイントを整理できたことで、どの施策に注力すべきか明確になった」という声が考えられます。

また、リライトやCTA設計などの再現可能な運用ルールを整備したことにより、「今後も社内で継続的に改善を回していける体制が整った」という判断材料としてのコメントも想定されます。

さらに、オウンドメディアの成果が事業成果に直結する形で可視化されたことにより、「広告中心の集客だけでなく、長期的な集客基盤を形成できる道筋が見えた」という認識も得られています。担当者としては、施策の結果を感覚的な評価ではなく、具体的なリード獲得や受注件数という数字で確認できたことが、施策の価値を判断する上で大きな助けになったと考えられます。

同じ施策が向いている企業・向いていない企業

オウンドメディアを中心としたSEO施策の有効性は、企業の事業特性やリソース状況によって大きく左右されます。A社の事例からは、単にSEOやコンテンツ制作のテクニックを適用するだけでなく、「自社の事業成果と直結させる視点」が重要であることが読み取れます。本節では、施策の適用可能性を判断するための条件を整理します。読者が自社の状況と照らし合わせて、同様の取り組みが向いているかどうかを判断する参考としてご活用ください。

向いている企業

この施策が向いているのは、主に以下の条件を満たす企業です。まず、リード獲得や問い合わせを通じて事業成果につなげることが重要なBtoB企業であること。次に、一定のコンテンツ資産や制作リソースが社内に存在し、記事の制作・更新・改善を継続的に実施できる体制が整っていることが挙げられます。

また、広告施策だけに依存せず、中長期的な集客基盤を構築する必要がある場合にも適しています。さらに、マーケティング部門と事業部門が連携しやすく、KPIや改善プロセスを共有できる文化がある企業であれば、施策の効果を最大化しやすいと考えられます。

向いていない企業

一方、施策が向きにくいのは、短期的な売上や問い合わせを最優先とする事業構造で、中長期的な集客やリード育成に投資する余裕がない企業です。また、コンテンツ制作や運用を担う人員が極端に限られている場合や、マーケティング部門と事業部門の連携が不十分で意思決定の速さが確保できない場合も、同様の施策を展開することは困難です。

加えて、事業対象が極端にニッチで検索需要が限定的な場合や、広告や外部チャネルによる即効性の高い集客施策が主力である場合には、オウンドメディア中心のSEO施策の効果を十分に発揮できない可能性があります。

まとめ

今回のA社の事例からは、単に記事を増やすだけでなく、KPIをコンバージョンに設定し、CTA設計やリライト、コンテンツ全体の体系化を行うことが成果につながるポイントであることがわかります。

また、社内で再現可能な運用体制や部門間の連携を整えることで、短期的なアクセス増加にとどまらず、中長期的に安定したリード獲得基盤を形成できることも確認できました。SEO施策を検討する企業担当者にとって、施策の適用可能性や自社体制との整合性を判断する参考になる内容となっています。

オウンドメディアを運用しているのに、問い合わせやリード獲得につながらない場合は、KPI設定や導線、既存記事の活かし方から整理することが重要です。貴社の現状を棚卸しし、限られたリソースでも回せる無理のない施策設計と優先順位づけを提案します。

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